

[VOL.34]
ご裂織作家| 牛山よしみさん / 株式会社ムラシゴト代表 | 内田将大さん

TEXT BY TANAKA YUKIKO
古くなった布を裂き緯糸(よこいと)にしてまた布を織る。表が傷めば裏返す。布の命が尽きるまで大切に使う。かつてそんな文化があった。モノがあふれる現代、それでも行き詰まり感を感じるのはなぜだろう。日本人が忘れかけているていねいな暮らしとその技を、後世に残そうと日々奮闘する株式会社ムラシゴト代表の内田将大さんと裂織作家の牛山よしみさんにお話を伺った。

OLD IS NEW
ー内田さんが裂織に目をつけたきっかけはなんだったのでしょうか?
内田将大さん(以下内田):3年前に地域おこし協力隊として原村に移住してきました。協力隊の業務が「日本で最も美しい村の推進」で、その中に「ぼろ機織り・さき織」があったのがきっかけです。それでよしみさんに出会って、すごく楽しそうに、しかもすごくいいものを作っていて、直感でこれには絶対関わりたいなと思いました。
ー原村の人にとって裂織とはどんな存在だったのでしょうか?
牛山よしみさん(以下牛山):昔は冬の休耕期に古くなった布を裂いて作業着やこたつかけに織っていた。昔はほとんどのうちに織り機があったんだけど、高度成長時期のころから安いものが入ってくるようになって、だんだん裂織をする人が少なくなって廃れてきちゃったんだよ。
昔の人は「一寸の布でもお座敷出ます」って言って、どんなボロでも取っておいて、いつか大きな布を作るときに役に立つからって大事にしてきたんです
ー牛山さんは作品として売るのではなく生活の中で使うために始められたんですか?
牛山:冬の趣味で始めたの。本当に楽しくてね、ご飯食べる暇も惜しんで織ってた。好きってことだよね。
内田:裂織はもともと茅野も含めた山浦のエリアで盛んだったんです。全国的には青森の南部裂織とか岩手の方とか、寒いエリアでは綿花が栽培できず、布が貴重だったということもあり、裂織が根付いたのかなと思います。
南部裂織の作品はカラフルなものが多い。私が見た一例だと、経糸(たていと)は全部黒、緯糸は赤系みたいな感じで結構パキパキしていました。それに比べると原村のは割と落ち着いた色が多くて、ナチュラルなイメージです。
ー裂織の魅力はどんなところですか?
牛山:ボロで作ると計算した通りのものじゃなくて、とんでもないところに柄が出てたりする。自分の想像したのと違う作品になってくる楽しさがあるよね。逆に思った通りにできなくて気に入らなければもう一回やってみようっていう、それが楽しい。難しいことはそんなにない。だって昔は学校に行けなかった人たちだってやっていたんだから、本当に誰でもできると思う。

ー内田さんは『BOLOCO』というブランドを立ち上げられましたが、あれは若い人に向けた発信をされているんですよね?
内田:そうですね。裂織の織り手さんが比較的ご高齢の方が多いため、興味を持つ人の層が限られるかなと思い、見せ方を考えました。ちょっとノスタルジックな感じも出しつつ、都会らしいスタイリッシュなレイアウトで工夫して作っていくことで、若い人にも響いている実感はかなりあります。商品のターゲットはどちらかというとBtoB。事業者さんに対して響きますし、作り手としても服飾専門学校の学生などにアプローチすると、20代の女の子たちが、「こういうの本当にやってみたかったんです!」って言ってくれることがあるんです。
ーリサイクルとかSDGsを考えるとまた波が来るんじゃないですか?
牛山:来てもらいたい。環境のためにもね。今は後継者を育てたいと思っているので、イベントや販売に行く時は必ず小っちゃい織り機を持って行って体験コーナーを作るんです。コースターを1枚くらいなら15〜20分で織れちゃうので、作って持って帰ってもらいます。
内田:よしみさんは最近、伝承することにすごく力を入れていて、すごくいいなって思っています。僕がメールやウェブフォームとかで受け付けられるようにサポートできれば、若い人にも間口が広がるかなと思っているんです。そうして発信の幅が広がっていけば、観光の一つのコンテンツになったらいいなと思っています。

ーどう伝えていくか。内田さんが掲げている「OLD IS NEW」ってすごく刺さりますよね。
最後にお二人から熱いメッセージをお願いします。
内田:「OLD IS NEW」古き良きものは残す。古いものにこそ美しさが潜んでるっていうメッセージを込めています。裂織は可能性が本当にあるものだと思っているので、興味のある人はぜひご連絡いただければと思います。
牛山:最近は布だって古いものが出てこない。できれば古い布だけで織りたいと思って一生懸命集めてるんだけどね。これから受け継いでいってくれる人たちのためにも残していきたい。とにかく、この原村に裂織を残していくってことが一番大事だと思っています。



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織り工房YOSHIMI
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