

[VOL.30]
カフェ アンダンテ 堀内 諭 | 八ヶ岳オクテット 矢島 徹男
TEXT BY TANAKA YUKIKO
「おいしい」へのゴールなき挑戦
JR茅野駅の東西に店を構える「カフェアンダンテ」と「八ヶ岳オクテット」。どちらも地元客のみならず観光客からも人気の飲食店だ。今年2月、両店の人気メニューを使ったコラボメニューが発売された。それぞれのこだわりが詰まった逸品は場所を変えてどのように姿を変えたのか。カフェアンダンテ店長堀内諭さんと八ヶ岳オクテット店長の矢島徹男さんに、それぞれの仕事への思い。そしてコラボメニューにまつわるお話を伺った。
パンの道、
料理の道との出会い
矢島徹男(以下:矢島):5年ほど前にオクテットに入りました。料理人になりたくて調理師専門学校に行きましたが、途中のお店でケーキなどを作るようになり、その流れでなぜかパン屋に。パン作りは大変ですけど、自分に合ってると思います。特に生地に関しては添加物などを入れないようにこだわって、毎日朝3時4時に出てきてやっています。
堀内諭(以下:堀内):ぼくは料理が好きで小学生くらいから母親と一緒によく料理を作っていたんです。調理師免許が取れる高校に行って、卒業後は東京で10年ほど洋食を中心にいろんなレストランで働いてきました。こちらに帰ってきて3年ほど前にアンダンテに入りました。色々提案して、だんだん思うようにやらせてもらえるようになってきたと思います。

自信の逸品で
念願の交流が実現
堀内:矢島さんが何か違うメニューをやりたいけど人手も少なくて難しいっていう話から、だったらうちのビーフシチューを渡せますよ〜という話になったんです。
お話しを伺った粟沢区社寺運営委員会の方は、「昔は車じゃなかったから、参拝客の列がずらーっと本町の方まで伸びていたらしいです。遠方から電車で茅野駅にきて、歩いてここまで来ていたから、途中買い物する人なんかも多くて、本町の商店街が賑わっていたみたいですね。」と話してくれた。
最近でこそ遠方から来る人は減ったというが、それでも諏訪や岡谷からくる人も多く、一夜で数千人が訪れる年もあるという。
矢島:お店も近いし、以前からパンだけでも使ってもらえたらいいなとも思っていたんです。せっかくならそれぞれのお店でコラボメニューを出そうということになりました。当店の食パン「奏」を使ってもらうことになりました。駅の東西で店が近いので、2店の相乗効果でまずは知ってもらうっていうことができたらいいなと思っています。

堀内:僕の中では「奏」を使うならこれ! と決めていました。本当においしい食パンなので、本来なら普通にトーストしてバターを塗るだけでいい。でもアイドルタイムの軽食ですし、観光のお客様も多いので、諏訪で生産している諏訪美豚という銘柄豚を使ったカツサンドとピザトーストを考えていました。
矢島:ビーフシチューはもう完成されているので、シンプルに考えました。お野菜をふんだんに使うと喜ばれますので、そこに自家製ドレッシングをかけています。パンはなるべく焼きたてのものを提供するようにして、邪魔をせず単純においしいなって思ってもらえるものを考えました。
堀内:自分のメニューがどんな風になるか、ワクワク感がありましたね。
矢島:堀内さんのことは人柄から信頼してるので、おいしいパンを渡せばおいしく作ってくれるだろうと思ってました。
それぞれが目指す
元気なまち
矢島:おかげさまで「奏」の評判が良くてお客様もついてくれています。次の展開として、販売店をやって広げていくっていうやり方もあるんですけど、なんだろう…自分のパンを買いに茅野に来てもらいたいんです。車社会になっても駅っていうのは街の中心地なので、自分のパンでここに人を呼ぶっていうのが最終目的なんです。
堀内:うちは茅野市民館の中のレストランですが、市民館のイベントと関係なく、わざわざアンダンテに行こうよっていうお客さんを増やしていきたいと思っています。それもあって1年くらい前に目玉商品としてこのビーフシチューを考えました。伊那の天竜牛を使っていて完成までに10日かかります。だんだんこれを食べたいというお客さんが増えてきたところです。
矢島:自分もそうですけど、やってることに思いや信念があって、自分の作るものに自信がある。上には上がいるとも思っていますが、「どこのお店よりおいしいよ」と言ってもらえればうれしいし、間違ってないなと思える。
堀内:地元のお客様もそうですし、これからの季節、別荘のお客様が戻ってきますよね。「また今年もきたよ」と言ってきてくれるのはうれしいですね。通ってくれるお客様を飽きさせないよう、これからもおもしろいことを考えていきたいですね。
