新たなステージにチャレンジする5代目平林裕一さん〈信州城下そばと天ぷら やまとう インタビュー〉

IMA-ZINE INTERVIEW VOL.16

元気なまちで、今(いま)を生きる、元気な人(じん)にインタビューするコーナー。

やまとう有限会社 代表取締役 平林 裕一

INTRVIEW WITH KITAHARA JACKSON YU


 松本城の北西徒歩1分の距離にある「信州城下そばと天ぷら やまとう」。その歴史は大変古く、130年以上もの間城下町松本の食文化を支えてきました。やまとうの始まりは城のお堀で行なっていたという鯉の養殖業、その後は食堂や土産屋と形を変え、市民や観光客から愛されてきました。2019年のリニューアルでは店内を和モダンの落ち着いた雰囲気に一新。イマージではそのブランディングから設計、空間デザインなどをお手伝いさせていただきました。脈々と受け継がれる食への情熱をゆったりとした空間で堪能していただけるようになり、さらに多くのファンを魅了しています。そんなやまとうの歴史を受け継ぎ、新たなステージにチャレンジする5代目平林裕一さんにお話を伺いました。

歴史ある「やまとう」を受け継ぐ決意

 僕自身、飲食の経験は学生時代のトンカツ屋でのアルバイトくらいで、卒業後は会計士として会計事務所で働いていました。店を継ごうと決心したのは25歳くらいのときでしたが、当時は建物の半分がそば屋でもう半分がお土産物屋といった感じでした。僕自身、そばが好きだったので、継ぐならそば一本でやっていこうと考えていたんです。建物も改装したいと考えていたところでイマージさんと出会いました。

 コンセプトやターゲットについて、妻や家族も交えてじっくり会議していただきました。そのおかげでうちのコンセプト「色とりどりな幸せな時間」が決まって、メニュー開発にもつながったんだなと思っています。家族だけで経営しているとお店の方針などなーなーになりがちで、改めて話し合う機会というのはなかなかないので、貴重な時間だったと思います。

 話し合いを重ねる中で、リニューアルを機に新たに女性のお客様を意識するようになりました。女性って日々の家事や仕事に追われてとても忙しいですから、お友達との食事のときくらい少しでも贅沢な時間が味わってもらえたらと考えたんです。そうした点から盛り付けや彩りはもちろん、天ぷらは薄衣でサクッと食べられる軽めの食感にするなど意識しています。

こだわりのそば、季節を彩るメニュー

 建物のリニューアルと同時にそば自体も見直しました。イマージさんが永山寛康先生を紹介してくださったので、一緒にメニュー開発をしていただくことができました。僕が永山先生の蕎麦教室出身だったので、メニュー開発もすんなりといったようにも思ったんですが、同時にまだまだ未熟だとも思いました。天井がないんです、そばづくりには。それでもお皿選びとか細かい部分も一緒にやっていただいて本当にありがたかったです。

 当店では、そば粉は実のまま納品されたものを、店内で石臼を使って挽いています。お米も精米したてはおいしいですよね。そば粉も挽きたては香りや色、風味が違うんです。

 出汁もリニューアルと同時に作り直しました。以前より濃いめのしっかりとしたキリッとした味に仕上がっています。

 もう一つのオススメは「かわり蕎麦」です。今はちょうど「レモン切り」を始めたところで、夏の間お出ししています。6月までは「大葉切り」をやっていて、9月からはケシのみを混ぜ込んだ「ケシ切り」の予定です。そのほかも季節に合わせてゆず、青ゆず、かぼちゃなどをやっています。素材の色が出たお蕎麦になるので、見た目にも綺麗なんです。

 「色とりどりコース」をご注文いただければ、二八蕎麦、かわり蕎麦の両方を召し上がっていただけます。天ぷらは3種類の薬味で食べていただけて、お蕎麦の汁も味噌とかえしの2種類がつきます。永山先生考案のプリンもついて、一番人気です。

より地元に愛されるお店に

 おかげさまでお客さんに喜んでもらえて、幸せな時間が提供できるようになったと実感しています。女性のお客様も増えました。リニューアルして半年くらいでコロナ禍になってしまいましたので、まだ観光の部分では戻ってきていないですが、その分地元のお客様が増えて、だいぶカバーできていてありがたいです。今の店舗になってからの新しいお客さんが増えたのは、おそばのおいしいことはもちろんですが、居心地のよい空間になったというのが大きいと思います。リニューアルして席数も増えたことで、ゆったりとくつろいでいただけます。

 それでも、これまで観光に絞ってやってきたお店だったので、まだまだ地元のお客様を掴みきれていないところがあると思います。もっと地に足をつけて地元に根付くそば屋さんになりたいと思っています。

I N F O R M A T I O N

やまとう有限会社

〒390-0876 長野県松本市開智1-1-27

Tel & Fax 0263-32-3733

www.soba-yamatou.com

店舗営業時間:11:00〜16:00 定休日:毎週木曜日

駐車場:店舗前に3台(店舗隣に市営開智駐車場あり)


DATA(施工データ)

プロジェクト:ブランディング/設計・施工/家具/サイン  竣工年:2019年

ブランディング:北原 友

設計・現場監理:北原 享

空間デザイン:宮澤 雄太

現場管理:小平 政智、稲邑 裕樹

家具:イマージ木工室、小平 榛香

サイン:+iイマージデザイン室

>“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

生きているといろんなことがある。
嬉しかったり。悲しかったり。
失恋の夜が明けたかと思えば、ひとめ惚れの朝が来たり。
成功したあとには、 失敗ばかりの日々が続いたり。
あんなに前向きだった気分も、
ふとした拍子にやんなっちゃったり。

いつだってぼくらは、
泣いて笑って、走って転んで汗まみれ。

でも、そのたんび、
いまより良くするもっと冴えたやり方。
いまから始まるバラ色の近未来。
いましか望めない遠い風景。
考えて、思いえがいて、考えて。

考えることは生きること。ぼくらはいまを考える。
そう、ぼくらは“いまを生きる人”なんだ。

そんな、イマジンたちに贈ります。

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