

想いをかたちにする店づくり
対話を重ね、ともに理想をかたちに
[ interview ]
アニバーサリーチロル
髙橋輝樹さん 髙橋愛美さん
株式会社イマージ
設計部 小平榛香さん
TEXT BY TANAKA YUKIKO
[Prologue]
茅野駅前で73年に渡り愛され続けている「アニバーサリーチロル」は、4代目のパティシエが就任し新たなスタートを切った。そこからさらに5年目という節目の今年、店舗リニューアルを実施。イマージではその設計施工を請け負わせていただいた。今回は4代目パティシエの髙橋輝樹さんと、店を一緒に盛り立てている妻の愛美さんに店舗リニューアルへの思いを伺う。またイマージ設計部の小平榛香さんに、若い夫婦の夢をどう汲み取り形にしていったのかについても聞いてみた。

満を持してのリニューアル
髙橋輝樹(以下:髙橋輝):幼い頃から父と同じような道を歩いてきたので、自然と小さい時から(ケーキ屋を)継ぐのかなと思っていました。東京・神奈川で修行をしていて、5年前の御柱祭を機に帰ってきました。自分が30歳になる年で、修行も10年になった。ちょうどそんな節目でもありました。
帰ってきてすぐは自分の店として中身が伴っていないと思っていたので、まずは自分の基盤を作ろうと計画していたんです。まずはケーキなどを一新し、焼き菓子のパッケージも一新しました。そこから売り上げも伸びてきて、自分自身が表現したいものを形に出来るようになってきたという実感もありました。帰ってきて5年目という節目の年でもありましたので、お店のリニューアルに踏み切ることにしました。
小平:私自身茅野市の出身で、髙橋さんとは年も近いんです。だからこそ4代70年以上もつながっていくお店というのがすごいなと思いました。このリニューアルを機に、髙橋様ご夫妻の思いがたくさんのお客さんにお披露目する機会になればと思いました。

店の歴史と都会的な洗練さ
髙橋愛美(以下:髙橋愛):今回カフェスペースに上る階段脇の壁は一番見せたいところでした。でも当然お金もかかりますし、正直やめてもいいかなと思ったこともあったんです。でも小平さんが背中を押してくださって形になりました。すごいお気に入りです。本当に作ってよかった。
小平:工事の打ち合わせの中では、当然減額のために削ったり、見直したりしなければならない部分があります。でもこの部分に関しては奥様のお気持ちが強くあると感じていたので、がんばってやってみましょうとお話しさせていただきました。今回、店内を都会的な要素を入れてすっきりさせたいと同時に、アンティークの要素を取り入れたいというご希望でしたので、重厚な感じにするのか、すっきりとした中に温かみを残すのか、その辺りを話し合っていきました。チロルさんのこれまでの歴史を残しつつ、洗練された雰囲気に。そこを擦り合わせていく時間が大事だったと思います。
髙橋輝:とてもいいものに仕上がったと思っています。やはり70年続いてきた歴史は大事にしたい。例えば、2階のカフェスペースで使っているこのテーブルと椅子は、店名の由来にもなっているオーストリアのチロル地方で作られたものなんです。先々代が仕入れて以来、もう50年近く、この店で大切に使ってきました。お客様からもとても評判がよく、長く親しまれてきたものです。だからこそ、今回のリニューアルでも、これまでと変わらず使い続けたいという思いがありました。先代たちが大切にしてきたものを、4代目の自分たちの代で途切れさせるのではなく、これから先のアニバーサリーチロルへつないでいきたいと思ったんです。今回は、そんな思いをくみ取っていただき、新しい空間に合わせて、テーブルもリメイクしていただきました。
小平:このテーブルは作ろうと思って作れるものじゃないのですし、チロルさんが歴史の中で細かいところに気を配る手しごと感を受け継いできた感じを出したいと思っていたんです。店内の他の細かい装飾についてもそうしたところを意識して、一つずつパーツを変えてみたりしました。



実現までの悩みもよろこびもともに
髙橋愛:私たち二人ともこだわりが強いので、とてもわがままを言ったと思います。照明なんかは自分たちで探したんですが、結局小平さんの提案のものが理想通りだったりしたんです。自分たちが求めている部分をわかってくれて、こういってはおこがましいですが、小平さんとは趣味も合うんだなと思っていました。
小平:でもとにかくお二人のご希望がどんなものかを知りたい一心でしたし、私自身とても勉強になりました。でもそれはお二人が希望のイメージを明確に出してくださったから。だから共感しやすかったんだと思います。
髙橋輝:当然予算の関係で削る部分もあったんですが、一つ一つに真摯に向き合っていただいた。結果本当に納得のいく形に落ち着いて居心地のいい空間になったと思います。
髙橋愛:希望の感じを見本まで作ってやってもらったのに「違うね」となったこともあって、本当に申し訳なかった。でもだからこそ「何かを諦めた」という後悔は全くありません。他に何か希望してたっけ? と思うくらいです。

I N F O R M A T I O N

アニバーサリーチロル
〒391-0001 長野県茅野市ちの7015
tel. 0266-72-2547
https://www.anniversary-tirol.jp