


考え続ける設計
住まい手になって見えたその先
[ interview ]
株式会社イマージ
設計部 河野哲寛さん
TEXT BY TANAKA YUKIKO
[Prologue]
前回に引き続き、今回も株式会社イマージで設計を担当する河野哲寛さんにお話をお伺いします。自らが設計した自宅が完成し、実際に住んでみて感じたことから、家づくりの先に河野さんが見据えている未来について伺いました。

住まい手としての視点も持って学んだこと
住んでみて気づいたことの一番はやっぱり匂いですかね。やっぱり木で家を作るといいなって思いました。こういう家に住みたかったんだなって。あとは窓の配置に気を遣ったので風通しがすごく良い。その辺は上手くいったなっていうところですね。設計段階から分かってたんですけど、目線の切り方はすごく難しいなと思います。窓を大きくしたんですけど、すると外から丸見えなんで、その辺はやっぱり難しいなと思いました。あとは外構で何とかするしかないんだろうなと思ってますけど。でも造作のソファーやそこから見える景色が気に入ってるし、あとロフトも割と良い。家全体に光がしっかり入ってくるところも気に入っています。
あとは自画自賛じゃないですけど、単なる土地の時より家を建ててからの方が、周りや畑の景色とかがすごくきれいに見えます。上手くいったので良かったです。でも本当にすべてが学びでした。大きいのは、自分のための家ということで、住まい手の気持ちと設計者としての葛藤を知れたことかなと思います。これだけやりたいけど、住まい手としては予算が限られているからどこまでやろうみたいなのが当然あって、難しいですよね。お金がかかる。びっくりしました。
あとは夏の一番暑い時期と、冬の一番寒い時期にどうなるか。これからなんでちょっと楽しみですね。

実験から得た自負と課題
設計というのは、ずっと先回りして問題があると思ってやっているので、とびきりクリティカルな問題はなかったと思います。
一番大きい予想外なことでいえば、今回は在来工法ではなくパネル工法を採用したんですが、楽になる部分とかえって手間になっている部分があったということですかね。これは工場で作ったパネルをグリッドごとに運んできて、現場でパタパタ建てていく工法です。品質の標準化と工期の短縮ができるんじゃないかと考えて採用してみましたが、何でもいい面ばかりじゃないなと思いました。在来工法だとやりやすかった部分も、パネル工法だとちょっとした握りができなかったり修正ができなかったりというのがあったので、その一長一短ですね。
良くなかった部分はどう改善していくか。そういう面はいくつかありました。それでも、おおむね方針は間違ってなかったんじゃないかなと思いました。出来上がってきたものと自分があらかじめ考えていたことはそんなにずれていないというか、思った以上にうまくいっているなと思ったので。一旦自分の中では落とし込めています。
一昨年の冬くらいから家を建てることを考え始めたんです。この敷地にとって一番いい形はなんだろう。入れたい設備、間取り、この景色をどう切り取ったらいいのかっていうのをずっとコツコツと。そうして考えたことが割としっかりできたなというところはあります。でも今回は自分が施主なんでいいんですけど、今後仕事の時にはこうして自分が考えたことをお客さんに説明していかないといけない。お客さんにどう伝えるか、そこをしっかりやらないといけないと思っていました。



家からまちへ 点と点をつなぐ設計者へ
ジェネラリストを目指して、ある程度自分なりの型が固まりつつあるのかなと思っているので、ある程度できた型はその後崩していけるようになりたいですね。あとは自分たちの仕事が社会に求められるようにするには、どういう家づくりとかデザインでやったらいいのかということは常に考えているつもりです。いろんな人に共感してもらって、この会社で家を建ててもらいたいとか、私に頼みたいと言ってもらえるようになりたい。そして単なる家づくりじゃなくて、もっとまちづくりとかこの会社が掲げるようにまちを元気にしていけるといいと思います。例えばこの地域は小学生も少なくなっていますけど、地域が元気になれば人が増えてくる。そうすればお店も増えてくるだろうし、ここで事業をしたいという人も増えてくるでしょう。地域が盛り上がれば移住したいという人たちも増える。すると自分たちの仕事も継続的にできるのではないかと思うんです。一つの建物を設計するだけじゃなく、点と点を、線で、面でつないでいくということを目指したいと思います。
無理だろうと言われてきたけど、やってやるぞって気持ちでやってきました。そういう思いって年齢に関係なくあるものだと思います。何歳からでも本当にやる気を持って臨めば基本的には何でもできると思いますので、今からでも設計をやりたいとか今からでも違う業界に行きたいとか。違う場所で違う仕事をしてみたい。あるいは同じ会社の中で違う仕事をしてみたいという願望は常に頭の中に置いておいて、もし本当にやりたいと思ったらやるのが一番いいと思います。



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