枯れぬ花 咲く場所に。

[VOL.18]
Ma’chere | 廣畑 仁美 さん

TEXT BY TANAKA YUKIKO


大切な「あなたへ」思いを込めて
喜んでもらえる悦びをつなげていきたい。

四方を畑に囲まれ、遠くには山々を見渡せる絶景のビューポイント。そんな最高の立地に佇む可愛らしい小屋の扉をくぐると、店内にはドライフラワーが所狭しと並んでいる。花や草のナチュラルな色合いを生かしつつ、洗練されたアレンジのリースやスワッグはどれも魅力的でついつい目移りしてしまう。Ma’chere店主であり作家でもある廣畑仁美さんは、贈り物をする人の気持ち、それを受け取る人のよろこびを大切に、日々ドライフラワーと向き合っている。


手にとってくれた方に
喜んでもらえますように。

店名の「Ma’chere」はフランス語で「あなたへ」という意味です。私自身、人にプレゼントすることが好きなので、私からお客さまへお渡しする、お客さまから他の誰かへプレゼントするその時によろこんでもらえますように、という意味を込めてつけました。
きっかけは、私の母が数年後に定年になるんですが、その後の仕事に不安があると話していて、それなら定年後に一緒にできる仕事にしようと思って3年前に起業しました。
実は自分の結婚式の時、テーブル装花などをぜんぶ母と一緒に手づくりしたんです。大変でしたが、評判が良かったし何より楽しかった。母と一緒にお花を買い付けに行ったりするなかで、いずれこういうお花の仕事をしたいねと話していたんです。
両親がペンションを経営していたので、私自身蓼科で生まれて育ちました。幼い頃はこの辺でちょろちょろ遊んでいたんですよ。花や虫に囲まれて育ったし、いつもお客さんに囲まれていた。私がここで仕事をすることで、自分の娘にもそういう環境で育ってほしいと思ったというのもあります。

蓼科×ドライフラワー

夏場は蓼科でも花がたくさんとれます。有名なところではサマーチェリーやラベンダーなんかかな。そうでない花も基本的には生花を仕入れて自分でドライに加工しています。蓼科は乾燥しているので、ドライフラワーには最適って言っていいくらいの環境です。大きめのしっかりとしたお花なんかはほったらかしでもきれいにできるんですよ。
ドライフラワーはよく「枯れている」と言われるんですが、ただ枯れているわけではありません。生からドライになっていく過程が魅力の一つだし、ドライになってからも退色していく様子もとっても美しいんです。
でも枯れてなくなるわけではないので、替え時がわからないという声も聞かれます。一般的にはきれいな状態を見てもらうために2〜3ヶ月での交換を勧めることが多いと思うんですが、退色したものもきれいなので、飽きたときでいいのかなと(笑)。十分楽しんだと思えたときに交換してもらえればと話しています。

人生の節目を祝い、人を思う。

結婚や出産の祝いや新築祝いなど、誰かに贈るギフトとして注文される方が多いですね。ガラスの面にメッセージが入れられるフレーム入りのものが人気です。都度どんな人に、どんなシーンでプレゼントしたいかしっかりヒアリングをしています。お客さまと一緒に作り上げている感じです。出来上がった作品をお客さまが受け取ってくれて喜んでくれるのはもちろんですが、お客さまがお相手の方にプレゼントしたときに喜んでもらえたと言ってもらえるととても嬉しいです。そこまでいって初めて完結するような気がしています。
起業してからここまではコロナ禍だったので、人に会えないからこそ、プレゼントの重要性が見直されているように思いました。「あなたのことを大事に思っているのよ」ということをしっかり伝えることは大切ですよね。
お店では贈り物にぴったりの小さめのものが多いですが、お店の装飾なども頼まれることがあるんです。今後はそうした大きい仕事にももっとチャレンジしていきたいと思っています。来年は念願だったウエディングの仕事も入ってきそうなので、がんばりたいです。

I N F O R M A T I O N

Ma’chere
長野県茅野市北山字蕨原5668-2
instagram @ma.chere913

冬季は店舗休業のため、イベント出店やオーダー注文、ネット販売にてご購入頂けます。

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“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

生きているといろんなことがある。
嬉しかったり。悲しかったり。
失恋の夜が明けたかと思えば、ひとめ惚れの朝が来たり。
成功したあとには、 失敗ばかりの日々が続いたり。
あんなに前向きだった気分も、
ふとした拍子にやんなっちゃったり。

いつだってぼくらは、
泣いて笑って、走って転んで汗まみれ。

でも、そのたんび、
いまより良くするもっと冴えたやり方。
いまから始まるバラ色の近未来。
いましか望めない遠い風景。
考えて、思いえがいて、考えて。

考えることは生きること。ぼくらはいまを考える。
そう、ぼくらは“いまを生きる人”なんだ。

そんな、イマジンたちに贈ります。

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