地域経済を牽引し続けた軌跡を辿る
思いに応え、未来へつなぐ

IMA-ZINE INTERVIEW VOL.43

元気なまちで、今(いま)を生きる、元気な人(じん)にインタビューするコーナー。

株式会社井口 代表取締役会長
井口 恒雄
Tsuneo Iguchi

INTRVIEW WITH KITAHARA JACKSON YU   TEXT BY TANAKA YUKIKO


創業70年を迎えた株式会社井口はガソリンスタンド開業を皮切りに、ボーリング場、ホテル、製造業に自動車教習所。さまざまな業種を支え、地域経済を牽引してきた。たった一代でこれだけの会社を築きあげた井口恒雄会長のエネルギーの源とは、また業種を問わず再建を成功させる会長のマインドセットを紐解いた。


挑戦、また挑戦

北原ジャクソン友[以下、北原]:最初にガソリンスタンドを始められたのは、おいくつの頃だったんでしょうか。

井口恒雄さん[以下、井口]:私が駅前でスタンドを出したのが26歳です。その後バイパス沿いにも作りましてだいぶ繁盛しました。ただ短期間に石炭から石油にかわるのを見ていたんで、またエネルギー転換があったらという不安があった。だからその勢いがあるうちにいろいろ挑戦しようと思ったわけです。
当時から諏訪にもホテルはありましたが、主に地元の企業の接待用に使われていて、旅行客とかビジネス客とかを受け入れるという感覚はあまりなかったんですね。そこでそれらを同時に受け入れようと作ったのがリバーサイドホテル。それで見事に苦労しました。借地料が高くてなかなか採算が取れなかった。土地を買い取れて、やっとなんとかなるかな? っていう頃になってオイルショックですよ。それでも来たお客さんが楽しんでくれるので、ホテル業にも力を入れ始めたんです。
そんな矢先、東京の友達のお父さんからホテルを買いたいと言われて、レイクサイドホテルは想像以上のお金で売却できた。それでレイクサイドではできなかったことに挑戦しようと華乃井ホテルを作ったんです。
浜の湯や下諏訪のかめやも引き受けました。修繕費がだいぶかかりましたけど、ここにきてようやく黒字になってきたところです。
木曽のゴルフ場も7~8年苦労しましたね。でもそうしたら木曽町のホテルをタダでくれるっていうことになった。いつかイマージさんに頼んでみたいと思っていたんで改修工事をお願いしました。北原さんの魅力はお客さんがどうリアクションしてどう評価しているのか。それが考えられるところだなと思っている。さらに木曽のロープウェイも指定管理者として引き受けていて、軽井沢の自動車学校と製造業も2つ持っています。中には畳んだ方がいいんじゃないかと思う話もあったけれど、従業員にやる気があれば、応えないわけにいかない。

北原:会社を復活させるのに大切なのは社員のやる気なんですか?

井口:そうでしょうねえ。社員がその気にならなかったら絶対ダメですね。社員がやる気があって、トップがそれに対応できる能力があれば会社っていうのは成り立ちます。

地域とともに。すべては必然の中。

井口:これらはね、全部必然性があったんですよ。例えば木曽のゴルフ場、私自身この周辺のゴルフ場の理事もやっていますから、バッティングするようなところだったらやらなかった。
商売は喧嘩したくない。最初にホテルを始めたときに、ビジネスと観光をターゲットとしたのも、既存の会社とお客さんを取り合いたくないっていうのもあったんです。途中、浜の湯と華乃井が(語呂が似ていて)間違えられるので、頭に「RAKO」とつけることにしたのもそう。地域でね、地域の皆さんと一緒にやってくっていう気持ちが強い。そういう必然があるだけで、こうして金儲けしようとか一切なかった。
いくつも会社を持っていて特に一貫性もないですけど、こっちのお金をあっちに持っていって使うってことは一切していない。そこで働いた皆さんにそこで出たものを分ける。こっちで出た利益をこっちの働かない社員に持っていくようなことをしちゃったら、働く社員は嫌になっちゃうじゃないですか。その信念だけは貫いてきましたね。

組織はいらない

井口:あとうちは組織は作らないんです。組織は作るもんじゃなく、自然に出来上がっていくのがベターだと思ってる。上がいるせいで社員がせっかくいいアイデアを持っていても出せないことがありますからね。出たアイデアは考えてるだけじゃダメ。ダメでもいいからやってみないといけないんですよ。やってダメならまた考えればいい。やる前からブレーキかけちゃいけない。

北原:会長にとって仕事とはなんでしょう。

井口:私もまだ悩んでるんですよね。逆に俺から仕事を取ったらどう生きてくのか。仕事が生活の一部かな。定年はないし、会社と運命共同体だよね。会社行かなんで毎日ぶらぶらしろって言われる方が難しいね。
私は必ず現場に行って確認をする現場主義なんです。会議も会議室でやるんじゃなくて、現場でやりなさいと言ってる。そうすると意外と解決が早いんですよ。現場が一番です。

I N F O R M A T I O N

株式会社 井口
〒393-0031
長野県諏訪郡下諏訪町6082番地1
tel.0266-27-5001

>“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

生きているといろんなことがある。
嬉しかったり。悲しかったり。
失恋の夜が明けたかと思えば、ひとめ惚れの朝が来たり。
成功したあとには、 失敗ばかりの日々が続いたり。
あんなに前向きだった気分も、
ふとした拍子にやんなっちゃったり。

いつだってぼくらは、
泣いて笑って、走って転んで汗まみれ。

でも、そのたんび、
いまより良くするもっと冴えたやり方。
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考えて、思いえがいて、考えて。

考えることは生きること。ぼくらはいまを考える。
そう、ぼくらは“いまを生きる人”なんだ。

そんな、イマジンたちに贈ります。

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