太鼓の響きがつなぐ歴史と現在、そして未来。奉納と文化継承という使命を背負って。

IMA-ZINE INTERVIEW VOL.47

元気なまちで、今(いま)を生きる、元気な人(じん)にインタビューするコーナー。

御諏訪太鼓
山本 麻琴
Makoto Yamamoto

INTRVIEW WITH KITAHARA JACKSON YU   TEXT BY TANAKA YUKIKO


山本麻琴氏は、御諏訪太鼓の宗家である小口大八氏を祖父にもち、太鼓演奏家の両親のもとに生まれた。母親のお腹の中いるころから太鼓の音を聞き、2歳半から太鼓を習い始める。以来国内外を問わず演奏してきたが、「仕事」にすることは想像していなかったという。そんな山本さんの気持ちを変えたものとは。太鼓を通じて見える地域の姿、そして発信したい文化の力について伺った。


ふたつの大きな衝撃に
背中を押された太鼓の道

北原ジャクソン友[以下、北原]:最初から太鼓を仕事にしようと思っていたわけじゃないんですね。そこから仕事にしようと思ったきっかけはなんですか?

山本麻琴さん[以下、山本]:御諏訪太鼓は諏訪大社に奉納する太鼓なので、「奉納」という意味ではずっと太鼓をやっていくだろうとは思っていました。ただそれを仕事にするというのは望んでいなかったんです。
最初は専門学校に行かせてもらって彫金の仕事をしていました。でも父親ががんになって、それからは治療費を稼ぐことが最優先になりました。仕事を選ばず働き詰めに働きましたが、父は6年後に他界してしまいました。
そのとき立ち止まって考えたんです。好きな仕事もそうでない仕事もしたけれど、もっとさかのぼって自分が持ち味として持っているものはなんだろうと。太鼓は目を瞑ったって打てる。自分自身の体に備わっているものなんだってやっと自覚できたんですね。そうやって太鼓が他人事じゃなくなったのが、26歳のときでした。
その後しばらくして宗家であり師匠でもある祖父が、突然交通事故で亡くなってしまったんです。そこからは今まで授けてもらったものを自分なりの表現の仕方でつなげていきたいという気持ちが強まりました。

歴史と文化を継承する存在

北原:最近山本さんは「諏訪の歴史・文化を体感するプレミアムツアー」を始められましたね。その経緯を教えてください。

山本:これからは国内に限らずインバウンドを迎え入れられるものを準備すべきだということで、日本文化や諏訪地域の伝統文化を継承している御諏訪太鼓も活用しようとなったんです。いろんな国で演奏させていただいていたので、外国の方に好意的に受け止めてもらえている感覚はありました。太鼓を軸にするためには、人任せにせずぼく自身がガイドをしようと思ったんです。
御諏訪太鼓っていうのは諏訪大社のための太鼓ですから、やはり諏訪大社を知ってもらいたい、見てもらいたい。そしてたった150年前までは神仏習合で神社とお寺は一つの宗教形態でしたから、お寺にも案内をするのが自然な流れだろうと考え、諏訪大社とのご縁が深い佛法紹隆寺にもご案内しています。そこで元々諏訪大明神として崇められていた普賢菩薩様の前で奉納します。時代が変わっても同じことをしていくというのは、日本人の文化・歴史を守っていく、また平和を守っていくことの表れです。そういうのを感じていただきたい。

太鼓の音に思いを込める

山本:最後には参加者の皆さんにも太鼓に触れていただくんですが、奉納する祈りや感謝の気持ちを込めながらやってみましょうとお話ししています。日本人が太鼓を打つことに込めた思いを知ってもらい、そうした精神性、文化的な信仰感を持ち帰ってもらうツアーを造成しています。
ぼくは太鼓を打つとき、どこか違う場所であっても諏訪大社大明神様に打っている時と同じものを思い描いています。それは太鼓を聴く人にずっとここに来てもらいたい、感じてもらいたいと思っていたからなんだと気づいたんです。
でもこれらは太鼓と神社とお寺だけでは実現しません。食事や宿、そのほかの体験など、そうした仲間たちと連携をとりながら多くの人がこの地域に関わってくれるような未来になるといいなと思っています。

御諏訪太鼓会館
〒394-0004
長野県岡谷市神明2-5-16
tel.0266-23-6146
>“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

生きているといろんなことがある。
嬉しかったり。悲しかったり。
失恋の夜が明けたかと思えば、ひとめ惚れの朝が来たり。
成功したあとには、 失敗ばかりの日々が続いたり。
あんなに前向きだった気分も、
ふとした拍子にやんなっちゃったり。

いつだってぼくらは、
泣いて笑って、走って転んで汗まみれ。

でも、そのたんび、
いまより良くするもっと冴えたやり方。
いまから始まるバラ色の近未来。
いましか望めない遠い風景。
考えて、思いえがいて、考えて。

考えることは生きること。ぼくらはいまを考える。
そう、ぼくらは“いまを生きる人”なんだ。

そんな、イマジンたちに贈ります。

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