[IMA-ZINE INTERVIEW VOL.42]
元気なまちで、今(いま)を生きる、元気な人(じん)にインタビューするコーナー。
有限会社石栁北原 代表取締役
北原 大貴
Hiroki Kitahara
INTRVIEW WITH KITAHARA JACKSON YU TEXT BY TANAKA YUKIKO
諏訪大社上社本宮に向かって東参道を進むと白い大きな暖簾が目に入る。暖簾をくぐると美しい墓石が佇み、さらに歩を進めると、陽の光が降り注ぐあざやかな日本庭園が出迎えてくれる。ここは明治から続く石屋「石栁北原」。2015年には5代目の北原大貴社長からの依頼でブランディングと店舗改装を実施した。「石栁北原」「イマージ」の両社にとって大きなターニングポイントとなったこのプロジェクトから9年。改めてその軌跡を振り返る。
石と共に150年
北原ジャクソン友[以下、北原(友)]:社長に就任されてどのくらいですか?
北原大貴さん[以下、北原(大)]:社長就任から)もう15年くらいになるのかな。私で5代目です。創業明治13年ですから150年近くなります。初代が栁太郎という名前だったので石栁という屋号に。社長交代したころ売上が落ち込んできていたので、イマージさんにお願いしたんです。
北原(友):そうでしたね。ご家族も一緒に何時間もミーティングしましたよね。その中でお母さまがお客さまの気持ちを「きっと寂しいのよ」とポロッとおっしゃった。その想いに寄り添いたいと「心に寄り添う石屋さん」というコンセプトになりましたね。
北原(大):家族で気持ちをひとつにして長く話し合ったことで勉強になったし、これからこれでいくんだって強く思いました。
北原(友):跡を継ごうと思い始めたのはいつ頃からですか?
北原(大):私の場合は小学校くらいから祖父のあとについてやってました。その頃から意識はしていましたね。それから大人になって、そのまま。継ぐという意識は早くからあったと思います。
想いをくみとり、形にする
北原(友):印象に残っている仕事はありますか?
北原(大):あるときお墓を壊さなきゃならないけれど、元のお墓の何かを残したいという方がいました。そこで墓誌から小さいお地蔵さんを作って納めたらとても喜んでもらえたんです。まずは母や妻がお客さんとそうした話をします。その話がまとまったら私が加工するというストーリーです。お庭を見て故人を偲びながら、なるべく細かいところまで話を聞いて、できる限りその思いに近づけます。お墓は一生、というか後世まで残るものなので大切に。そここそが「心に寄り添う墓石屋さん」ということかなと思っています。
北原(友):社長にとって墓石とは?
北原(大):私個人にとって石は友達みたいなもんです。石の種類によって硬さとか違って、叩いても表情が変わる。磨き方とか割り方で全然違うんで、本当に面白いです。
そして墓石っていうのは情緒の塊だとも思います。ご先祖様に手を合わせる…その家族にとってのパワースポットみたいな、一番大事なところだと思います。
後世に残る仕事、未来へつながる絆
北原(友):この先はどう考えていますか?
北原(大):子どもに継いでもらえたらありがたいですけど、強制もしないし今はまだ聞いてもないです。最近は、墓じまいや合同墓も増えてきて、市場も変わってきた。私自身は石積みの資格も取ったので、墓石だけじゃなくて幅広く石の仕事ができるようにと思っています。あとはメンテナンスなど、作りっぱなしではなくてその後も面倒を見る…今はそういう種を蒔いているところかな。それが花開けば次の代にも仕事がつながっていくんじゃないかなと思っています。
I N F O R M A T I O N
有限会社石栁北原
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