[JACKSON IMAZINE REPORT Vol.16]
弊社、代表取締役社長 北原ジャクソン友(通称:ジャクソン)が日頃から感じる様々な出来事や、数多くのセミナーを参加して感じたことなど、ワクワクする情報を毎月皆さんにシェアしていくコーナーです!
TEXT BY KITAHARA JACKSON YU
開催地に東京が選ばれた時にはあれだけ日本中が湧いて、開催を今か今かと心待ちにしていたオリンピックも気づけば開幕を迎えてしまいました。そしてまたも感染拡大が振り返してきてしまい、“無観客開催”という誰も想像もしていなかったオリンピックになってしまいましたね…。私は数年前に観戦チケットの応募はしたものの、全て落選していたので東京に行く予定はなかったのですが、自分自身お祭大好きな人間です。(笑)オリンピックのお祭り感、フェスティバル感といった高揚感あるムードをとても楽しみにしていました。ですがテレビやSNSで見かけるオリンピック関連の情報は、選手から陽性者が出たとか、規則を破って外食していたことが発覚した、関係スタッフが不祥事で辞任など、とてもネガティブなニュースばかりでがっかりすることが多すぎますよね。せっかくのオリンピック開催なのに、、、こんなことなら開催しないほうがよかったんじゃないの? とも思ってしまいます。
そんななか、弊社飲食店のカフェアンダンテでは大きな転換期を迎えました。更なるレベルアップのためには必要なプロジェクトだと考え、時間をかけてじっくり取り組み、やっとローンチになりましたので、今月はカフェアンダンテ大転換プロジェクトの内容を共有させていただければと思います。
「今こそ変わるチャンス」の実行
まずこのプロジェクトが必要になったのは、店長の交代が大きいです。知る人ぞ知るイマージ飲食事業部、“名店長” 五味が定年で退職になってしまうため、アンダンテも店長交代と共に新しい時代を作らなければならなくなりました。もともとはアンダンテは弊社のお客様であった、“さんれーく様”が経営していたレストランでした。さんれーく様といえば諏訪発のファミリーレストランで長野県内で17店舗を運営する企業で、すかいらーくと同じ時期の創業という、ファミリーレストランの元祖礎を作ってこられた企業です。そのさんれーく様から譲り受け、ここまで順調にきたアンダンテも、コロナの影響をしっかり受けてしまい、売上は大幅ダウン。不採算店舗になってしまったのです。コロナに入って売上が落ちていくのでスタッフの士気も下がり、マイナスの空気感が蔓延していたのですが、「今こそ変わるチャンスだよ!!」ということを言い続け、変わるために試行錯誤をしてきました。
まずは昨年の全国一斉の緊急事態宣言の時にスタッフミーティングを行い、これからどんなお店にしていきたいかを全員でブレストし、大枠の方向性を決定しました。ブレストの内容としては立地条件から在るべき姿を考えたり、スタッフみんなの“在りたい”姿を共有してもらったり、お客様の立場に立ってお店を見つめ直してみたり、などさまざまな角度から改めて考える機会となりました。今までありがたいことにそこそこ忙しい店舗だったこともあり、毎日の業務に精一杯で、足を止めて考えてみることができていませんでした。そのような状況下でのこのミーティングはいい機会となったのではないでしょうか。
ミーティングから見えてきたアンダンテの戦略は
01.施設に頼らない集客
02.レストランらしさの追求
03.幅広い層にターゲットを拡大
この3点です。
1. 施設に頼らない集客
カフェアンダンテは茅野市民館という文化施設の中で営業させていただいております。そのため、茅野市民館の催し物によって売り上げが大きく左右されていました。土日祝日はイベントや催し物にある程度の動員があれば、アンダンテも満席になる。平日はお得なランチセットが人気になっていて満席(ですが客単価はすごく低い)。この繰り返しで安定した収益を上げられていたのですが、コロナでイベントがなくなって一気に売上ダウン…。そこで、いずれかはイベントが戻ってくるかもしれませんが、よりいいお店にしていくためにも、外部の環境に頼ることはここでやめよう。自社の商品やサービスに磨きをかけて、美味しい食事に期待して来店していただけるような、ファンのいる飲食店にしていこうと決意を固めました。
2. 改めてレストランらしさの追求
施設に頼らないお店とは? という観点から、様々な方向を考えました。居心地に着目してゆったり寛げる空間の可能性、ビジネスマンに通ってもらいやすいランチの提供、ディナーに力を入れて洋風バルのような形態にしていく、、、などなど、さまざま方針を検討しましたが、今回定めたのはランチに特化した「茅野駅前の洋食屋さん」です。駅前に洋食屋さんジャンルに可能性(空き)があるのと、ここまでのファミレス感からの脱却、そして地元にもっと根付く必要があると考えたからです。
また、茅野市民館はstudioNASCA古谷先生が設計されていて、白黒を基調にしたとてもスタイリッシュな空間(建築専攻の学生がよく見学に来ます)です。店内もそのトーンで統一され、とてもオシャレな空間にはなっていますが、、、きれいすぎる故、飲食(洋食屋さん)のイメージと結びつきづらいところも存在しています。今後はきれいでオシャレなイメージを残しながらも、お客様の食欲を掻き立てて、一飲食店として選ばれるようなお店づくりをし、新店長大久保光(イタリアン出身)の色も生かしながら、料理性を高めていこうと考え、このコンセプトに落ち着きました。
新店長:
大久保光(27歳)を
よろしくお願いします!
3. 幅広い層にターゲットを拡大
ターゲットの変更もスタッフミーティングで出てきた話題でした。私はマーケティング・ブランディングを専門にさせていただいているので「ターゲットがありきのコンセプト」が理想だと考えています。そんな中スタッフから、うちのお店は60歳以上のお年寄りがとても多い。これはある意味特徴なのか? という意見をが出ました。確かに行けばいつもお年寄りのグループが多くいらっしゃいますし、ビジネス客や若い女性のグループは見かけない店舗でした。この意見から今回はターゲットを変えるということより、ターゲットの幅を広げることに注目しました。なぜビジネスマンが来ないのか? なぜ若い女性のグループが来ないのか? そのようなお客様が来ない理由を考えました。ターゲットは明確に絞り込む、これが基本なのですが、今回はあえての幅を広げる作戦にしました。アンダンテは茅野市民館の市民の交流スペースとして、もっと幅広い年代のお客様に気軽に使っていただきたいという考えから、今回はいつものセオリーを少し無視して、ターゲットを広げていく。そのために行う作戦は以下の通りです。
a.ボリュームの検討
食事なので、お腹いっぱいの満足感は必要。以前より一人前のボリュームを増やし、それでいて上品に見える盛り付け。
b.わかりやすいメニュー構成
アイテム数は絞り込むものの、ハンバーグ、手作りカレー、太麺パスタ、オムライスというように、コンセプトの“茅野駅前の洋食屋さん”を具現化すべく、誰にでもわかってもらえてどこか懐かしさを感じさせるメニューに。
c.商品全品のインパクト化
食事の体験が、少しでも記憶に残るようにそれぞれの商品にインパクトを。インパクトは商品ごとに違いますが、具材の組合せ、調理方法、味など、特徴を感じやすいように。
これらの作戦ですぐに結果が変わる訳ではありません。ですが、ひとつの転換期としてこのステップアップはプロジェクトは有益になってくると信じています。
スタッフとみんなで考えることで、まずはPDCAサイクルに載せ、その上で店長やスタッフのみんなが日々の変化についてよく観察し、主体性を持ってお店を変えていく、どんどん変えてどんどん挑戦してくためにも、このプロジェクトがきっかけになれば、それこそが一番の変革になるのではないかなと考えています。
また、この学びをまた飲食店やホテル旅館などのサービス業のお客様にお伝えし、みんなで今よりも良くなっていくことができれば幸いです!!元気なまちを目指して!!