[IMA-ZINE INTERVIEW VOL.35]

元気なまちで、今(いま)を生きる、元気な人(じん)にインタビューするコーナー。
八ヶ岳アドベンチャーツアーズ ディレクター
福井 五大
Godai Fukui
INTRVIEW WITH KITAHARA JACKSON YU TEXT BY TANAKA YUKIKO
Uターンで白樺湖に戻り、家業のペンションを継ぎながらアクティビティツアーのガイドとして活躍中の福井五大さん。スキーヤーとして世界を股にかけて活躍していたという福井さんが白樺湖に戻ろうと思ったきっかけや、福井さんが感じている白樺湖のポテンシャルについてじっくりうかがいました。


白樺湖から世界へ
そこから見えた故郷の可能性
北原ジャクソン友(以下、北原):福井さんはご両親と一緒に移住をしてきて、その後また戻ってこられたんですね?
福井五大さん(以下:福井):そうなんです。もともとは両親が大阪から移住をしてペンションをやっていました。それでぼくは小さい頃から冬はスキー、夏はマウンテンバイクっていう感じでバンバンやっていたんです。地域にスキークラブがあって、毎日放課後練習していましたね。でも中高までは成績もパッとせず、大学に入ってから伸びてきて、海外のレースとか世界選手権とかに出るようになった超遅咲きです。卒業後は東京の会社に勤めながらスキーの選手として活動をしていて、冬は長期の遠征に行く生活をしていました。
若いときは競技に必死で遠征先を楽しむ余裕がなかったんです。でも回を重ねていくと、だんだん違う視点を持つようになっていって、ウインターリゾートっていいなあとか、ここは日本のどこのエリアに似ているなとか感じるようになったんです。
白樺湖ってニュージーランドのワナカっていう地域とすごく似ているんです。ベースに湖があって、街がある。そこから10~15分くらいの距離にスキー場があって、朝はスキーに行って午後はカヌーをする。そこでスキーをしたりカヤックに乗ったりしてみて、それを白樺湖でもぜひやってみたいと強く思ったんです。

お客さんともっとつながるために
福井:それでちょうど4年前に帰ってきました。まずは実家のペンションを手伝いながらアクティビティのガイドを始めました。両親は子育てがひと段落してから湖でのアクティビティも手がけるようになっていましたし、ぼく自身も湘南でサーフィンやSUP、自転車のガイドをするお店をやっていたので、その山バージョンを作ろうと思ったんです。それが「八ヶ岳アドベンチャーツアーズ」。サイクリング、SUPとアクティビティの種類が増えていくと、お客さんの層も全然違ってくるんです。カヌーはやさしめのアクティビティなのでファミリー層や高齢者も多いですが、サイクリングは若者や学生、カップルなんかも多い。これまで白樺湖にはアクティビティのイメージがなかったと言われていましたが、そういう変化を見ていると今まで呼び込めなかったお客さんがまだまだいるんだと実感しています。湖のアクティビティは海とは違い、穏やかな水面を進むのが気持ちがいいです。安全性も高いですし、初心者でも楽しめるんですよ。
2年ほど前には「湖畔のアウトドアショプHYGGE」という自転車やアウトドアグッズを販売するショップをオープンしました。ガイドツアーではその時間だけしかお客さんとの接点がありませんが、販売っていうのは、自転車にしてもSUPにしてもメンテナンスや何かでそこからお客さんとの関係を長くつなげていけるので、ぜひ作りたいと思っていたんです。ここにお店があることで、販売はもちろんツアーを終えられたお客さんともゆっくりお話しできるようにもなって、大事な場所になりました。
変わりゆく旅の形、不変の良さ
北原:Uターン後つぎつぎと事業を展開されてきたわけですが、当社ではリトルグリーブ(ペンション)の改装をお手伝いさせていただきましたね。そこにはどんな狙いがあったんでしょうか。
福井:宿に関しては洗面所が共用だったり各室にバストイレがなかったりと、30年ほど前のペンションブームのスタイルのままやっていたんです。でもいまはもうそういう時代じゃない。ここからの30年もペンションとしてやっていくなら、このタイミングでこれからの旅行スタイルに合うようにしておきたかったんです。1泊や2泊の旅行もいいんだけれど、平日から仕事をしながら泊まって、空いた時間や休日は家族との時間も過ごす。そういった連泊やワーケーションも提案できるようにしたいんです。
うちは小さな宿なので、地域の人と触れ合っている感覚を感じてもらえると思っています。それもまた小規模な宿のいいところですよね。

白樺湖とともに向かう未来
北原:白樺湖の魅力ってなんでしょう。そしてこれからどうなっていくと思いますか?
福井:こは標高が1450mでグリーンシーズンは2ヶ月くらい。その間の2週間にニッコウキスゲが咲くなどそのときにしか出会えない景色がある。いい自然はもう用意されていますから。あとはそれをどう見せていってどう体験してもらうか。目の前が湖畔という環境の生かし方だと思うんです。
大きなホテル、小さな宿、それぞれに楽しみ方があって、その誰もが楽しめるアクティビティがある。レイクリゾートという概念が白樺湖をモデルに確立されていけばいいなと思います。
I N F O R M A T I O N

リトルグリーブ
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Tel.0266-68-3001
インタビューの様子は動画でもご覧いただけます。