自信は持たない。ゴールはない。
常に、よりおいしいパンを目指して

IMA-ZINE INTERVIEW VOL.39]

元気なまちで、今(いま)を生きる、元気な人(じん)にインタビューするコーナー。

「パンと、ともに。ルテーユ」 店主
山崎 敬輝
Takateru Yamazaki

INTRVIEW WITH KITAHARA JACKSON YU   TEXT BY TANAKA YUKIKO


30年前に茅野に移住してから、さまざまなタイプのパン屋でパン作りに勤しんできた山崎敬輝さんは、昨年9月長年の夢だった自分のお店「パンと、ともに。ルテーユ」をオープンした。イマージではブランディングから店舗デザイン、サインデザインなどを手掛けさせていただいた。オープンからまもなく1年、お店には地元の人から移住者、観光客まで多くの人が訪れる。しかしオープン前には人知れぬ苦労もあったという山崎さんに、パンにかける思いとこれからの展望を伺いました。


長年温め続けた自分のお店への思い

北原ジャクソン友(以下、北原):分のパン屋を開くというのはいつ頃から考えていたんですか? コロナ禍での挑戦ということで難しい面もあったのではないでしょうか。

山崎さん(以下、山崎):独立するというのはパン屋で働くようになってからずっと思っていたことです。コロナ禍とはいっても終わりかけでしたし、コロナによって移住者が増えているという情報もあったので。実際移住された方が来てくれることも多いですね。
ぼく自身が移住してからは30年くらい経ちます。向こうでは最初ホテルでケーキを作っていたんですが、移住してケーキとパンの両方をやり始めたらパンの方がおもしろくていいなと思った。
その後個人店や大型スーパーのパン屋、大手製パン会社にも勤めました。途中東京にあるデパートの本店にあるパン屋に勤めたことがあったんです。そこを立ち上げたのはフランスで研修をしてきた人で、なんていうかもう別格なんですよ。粉からきちんと作り上げる。自分もそれなりに自信を持って行ったんですが、打ち砕かれましたね(笑)。バケットを作った瞬間捨てられましたよ。でも味はもちろん見た目から何から全然違うんです。本当に勉強になったし、これができなきゃパンはできないとさえ思いました。

いよいよOPENへ 
なのにパンが膨らまない!?

山崎:子どもたちもそれぞれ独立したのでいよいよここを始めようと思いました。工事してもらって、引き渡しになって、さて試作をと思ったら全然できない。パンが膨らまないんです。オープンも予定より1ヶ月先延ばしにしました。原因がまったくわからなくて、こんなに苦労したのは初めて。2週間くらい籠っていて鬱になりかけましたよ。でも最終的に水が合わないってわかったんです。
普通、日本の水道水って硬度が40くらいあって、パン作りは硬度40~60ならいいはずなんです。でもここは少なすぎて16しかなかった。飲む分には最高においしい水なんですよ。茅野市内でもいくつかのパン屋で焼いてきましたが、普通にできていたのでびっくりしましたね。でも軟水だと何がいけないのかをとことん勉強して、温度から何から全部調べた。自宅の水を調べたら25あって、それで試したらできたので、今も水はうちから持ってきて使っています。

よりおいしいパンを模索し続けたい

北原:そんなに難しい世界なんですね! これがルテーユのパンだ! というのはありますか?

山崎:れがルテーユのパンだ! というのはないんです。でもバケットと山型食パンを食べてもらいたいなぁ。バケットは切って軽く温めたらチーズを乗せるだけで立派なおつまみになりますし、山食はトーストすると、皮はカリカリで中はサクサクですぐ飲み込める食感です。
パン作りはこれからもレベルアップしていきたいと思っています。もっとパンの旨味や食感を出していきたい。今でOKと思ってしまったらつまらない。ぼくは自信を持っちゃダメだと思ってるんです。自信がないから作り続けている。おいしいと言ってもらえるし、市内のホテルにも提供させてもらってもいますが、もっといいパンを作りたい。満足できないんです。一歩一歩進歩を繰り返していけたらと思っています。

I N F O R M A T I O N

ルテーユ
〒391-0216
長野県茅野市米沢41-1 サンサイド14 101
tel.0266-55-2775

>“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

生きているといろんなことがある。
嬉しかったり。悲しかったり。
失恋の夜が明けたかと思えば、ひとめ惚れの朝が来たり。
成功したあとには、 失敗ばかりの日々が続いたり。
あんなに前向きだった気分も、
ふとした拍子にやんなっちゃったり。

いつだってぼくらは、
泣いて笑って、走って転んで汗まみれ。

でも、そのたんび、
いまより良くするもっと冴えたやり方。
いまから始まるバラ色の近未来。
いましか望めない遠い風景。
考えて、思いえがいて、考えて。

考えることは生きること。ぼくらはいまを考える。
そう、ぼくらは“いまを生きる人”なんだ。

そんな、イマジンたちに贈ります。

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