[VOL.06]
— お話を伺ったヒト。—
小倉徹さん、よっぴーさん、東城さん
TEXT BY TANAKA YUKIKO
PROLOGUE
茅野市スポーツ公園の中、国際スケートセンターやプールが並ぶ一角にスケートボードが楽しめる広場がある。その名もSK8パーク。2000年のオープンから22年間、多くのスケートボード愛好家の滑りを見守ってきた。今回は長年ここでスケートボードを楽しみ、パークの補修などに尽力している小倉徹さんとお仲間のよっぴーさん、東城さんの3人にお話を伺った。
全国でも珍しい公共でありながら
自主運営のパーク
小倉:ここは公共のスケートボード場で、誰でも無料で利用できます。16〜17年前くらいからここで滑り始めて、茅野市に住んでる人が代表にならなきゃならなかったんで俺が管理者のような立場になっていますけど、特定の団体とかではなく役職でもなくて、よく滑ってる人の中の1人というだけです。
よっぴー:ここができたのは2000年7月だから、もう22年前だね。茅野市が提案してくれてオープンしたんです。当時市が作ってくれたセクションは木とトタンで作られていたので次第にボロボロになっちゃって。そうしたら自分たちで好きに直していいよということになったんで、それからはみんなで直しながら滑っています。
小倉:修繕する材料などの資金も自分たちの持ち出しなので、募金を募ったりグッズやスケートボードのDVDを作成して販売したりして、その売り上げを当てています。いらなくなった設備があると聞いて県外までトラックでもらいにいったりしたよね。
この間はここを直すために壊したコンクリートのガラに、アーティストさんにイラストを描いてもらって売ったんですよ。そうしたらスケートボードをやってる人なのか、そのアーティストさんのファンの方なのかはわからないんだけど、結構買ってくれる人がいたのでもう少し直せるかなと思ってるところ。
朝から夜まで好きな時間に滑りにくる人がたくさんいるから、俺らも全員を把握しているわけじゃない。必要だと思ったところを勝手に直してるだけだから顔を合わせたことのない人たちがどう思ってるかはわからないけれど、だれかがやらなきゃ滑れなくなっちゃうからね。
なぜ滑り続けるのか
東城:だいたいモテると思って始めたのにあんまりモテないんだよ(笑)。でもモテないことよりも楽しさが勝った人は続けてるんだと思う。醍醐味は人それぞれ。乗って気持ちいい、トリックが決まる気持ちよさ、ずっとできなかった技がやっと決まった達成感とか。
小倉:今はもう日課かな。ライフワーク。精神安定というか一番リセットできる。帰って酒を飲む、っていう感じに近いと思う。上手くなりたいけど、口にするほど上手くなりたいと思ってないかもな。若い子たちはもちろん上手くなりたいと思うけど、俺らは年取ってるから(笑)。
SK8パークのマニアックな魅力
よっぴー:恵まれた環境は他にもいくらでもある。室内だったり設備がすごかったり、逆にいえばここよりすごいところしかない。ここは本当にマニアックで、恵まれたものがあるわけじゃなく独特なものがあるだけ。
それは単純に俺らが素人の集まりだったから、作るときにコンクリートで角度つきすぎちゃって、思いがけずコースが玄人向けになっちゃっただけで狙ったわけではないんだよね。ここでスケートボードを始めた子はこういうもんだと思ってやってるからいいけど、ちょっと知ってる人は尻込みしちゃう(笑)。でも、それでも初めての人にも気軽にきて欲しい。本当に誰でもウエルカム。
小倉:一時は30〜40以上のおじさんばっかりになっちゃって、この先どうなっちゃうんだろうっていう頃があったけど、数年前から若い人も増えてきたよね。オリンピックの正式競技になったからか、それともコロナでできる娯楽が減ったからか、Tik Tokとかの影響か。実のところよくわからないけど、高校生もおじさん世代とこんな風に滑ったりアドバイスしあったりするなんて普通あんまりないだろうからいいと思う。
10代20代の若い子たちって、今まではセクションが壊れると俺らに直しておいて下さいっていう感じだったのが、今では自主的に直し始めたることもあって、若い世代につないでいってる感じがしてうれしいね。
東城:それでも自由だから。滑りたいだけの人、全部やりたい人、映像取りたい人、見ているだけの人、仲間の中にいるだけでいい人。流動的でいい。変わっていっていいよね。
よっぴー:そう。それでもパークはあったほうがいい、スケートボードは絶対あったほうがいい。
小倉:茅野市にスケートボードできるところがずっとあって欲しいと思いながら毎日通ってます。