地域に愛される空間とストーリー〈株式会社 本間商事インタビュー〉

IMA-ZINE INTERVIEW VOL.20

元気なまちで、今(いま)を生きる、元気な人(じん)にインタビューするコーナー。

株式会社 本間商事 代表取締役 本間 博明

INTRVIEW WITH KITAHARA JACKSON YU


 2021年9月新潟県新潟市黒鳥地区に「Farmer’s kitchen BLACK BIRD」がオープンしました。こちらを経営するのは、新潟市を中心に飲食店経営や農産物の生産、販売、ベーカリー運営など幅広い事業を展開する株式会社本間商事です。イマージではブランディングのサポートから設計施工までをお手伝いさせていただきました。新潟平野のど真ん中、広大な農地の中になぜお店を作ろうと考えたのか。地域の農業や食文化を盛り上げる3代目社長本間博明さんにお話を伺いました。

パン屋×カフェ×農業

 コロナがきて、商売もいろんなことが変わっていくんだろうと感じました。当社のパン事業はデリバリーや小包装でやってることもあってか、安定した売り上げがあったんです。そこで自社のもともとの得意分野である「農業」「飲食」と「パン」をリンクさせていこうと決意しました。「戦わないで勝つ」っていう言葉があります。戦うとストレスもあって労力も使いますよね。戦わないためには、同業他社と同じことをやらない、同じステージに立たない。パン屋ではあるけれど、しっかりと飲食のできるカフェと設備を備えて、直売スペースもある。これはなかなかパン屋さんだけとか、カフェだけではできないんじゃないかなって考えたんです。

 パン屋やカフェで、「野菜」の存在を深掘りしていきたいと考えています。今まで使ってなかった材料を使ったり、どんどん新しい野菜やいろんなものを作ってそれを使っていったり。あとは「そこの見える畑で採ったよ」とか「今朝採ったよ」っていうのも魅力だと思うんですよね。うちのこだわりは「○○したて」。ドレッシングも敢えて盛り付ける直前に調味料を混ぜています。あと黒鳥の枝豆は市場でトップブランドとして扱われています。うちの会社でも枝豆の扱い高が一番多いんです。期間にして4ヶ月、品種も十数種類を変えて適期のものを出しています。そのときにどうしても市場に出せないものも大量に出るので、なんとかしたいなと思っていました。BLACK BIRDでは、それらを原料として「ずんだアンパン」や「枝豆シェイク」などを作ってみたんです。これ結構人気なんですよ。大量にあるものなので、ふんだんに使って濃厚な味を出せるんです。普通ならほんのり色がつく程度とか風味がする程度と思うところを、うちはもうがっつり「枝豆です!」って。これは生産者であり、ブローカーだからこそですよ。

地域に愛される空間とストーリー

 子どもの頃なんかは新築っていうと必ず餅まきがあったんですけど、ここ数十年は何年に一度あるかないかです。今回は上棟式のときに餅をまいて、地域の方に向けて「今度こういう商売をやります」っていうご挨拶としました。実際たくさんの方にきていただけた。私の中では地鎮祭からもう商売や販促が始まるというストーリーができていたんです。おかげさまで、華美ではないけれど安心感のあるおしゃれっていうんですかね。木だったり、漆喰だったりっていう天然の素材を多く使ったデザインがお客さんに受けています。

 農作業しているおばあちゃんたちは、服が汚いから入れないとか言うんで、敢えて床は土間にしました。あと、年配の方は色々なメニューやサイズがあると、頼み方がわからないと聞いたので、うちではサイズは一つ。メニューはコーヒー、それからラテ、シンプルなアイスコーヒー。簡単にオーダーできるようにしています。 やっぱり建物の最大の売りはテラスですね。お客様入ってきてまず店内の開口部の大きさや天井の高さに驚いてくれて、パッと目を奥にやると大きな窓からテラスごしに新潟平野が見える。夕方は夕日がものすごく綺麗なんです。それでもここは新潟駅から車で25分ほどです。この田園風景とゆったりとした時間が流れているところに人口の多い新潟市の西区、中央区から車でたった10分15分圏内ということもあって、思っていたよりかなり広範囲からお客様にきてもらっています。

戦わずして勝てる店を目指して

 農閑期になったら週末2日くらい夜営業もやろうと思うんです。この地域で昔から食べられているカモ料理を出そうかと考えています。そのための長ネギも作っていますし。私中心に5名のカモ猟師がいて、ここから見えるところでとるんですよ。そんなお店、世界もにもないんじゃないですか? さらにはこのお店を中心に、「コト」で商売ができたらといいなと考えています。今は飲食とかパンとかの物販。「モノ」が動くことで対価を得ていますけど、でも体験とか学ぶとかそういった「コト」を事業としてやれたらいいなと思います。

I N F O R M A T I O N

Farmer’s kitchen BLACK BIRD

〒950-1123 新潟県新潟市西区黒鳥648-1

Tel.025-378-0871


インタビューの様子は動画でもご覧いただけます。

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“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

生きているといろんなことがある。
嬉しかったり。悲しかったり。
失恋の夜が明けたかと思えば、ひとめ惚れの朝が来たり。
成功したあとには、 失敗ばかりの日々が続いたり。
あんなに前向きだった気分も、
ふとした拍子にやんなっちゃったり。

いつだってぼくらは、
泣いて笑って、走って転んで汗まみれ。

でも、そのたんび、
いまより良くするもっと冴えたやり方。
いまから始まるバラ色の近未来。
いましか望めない遠い風景。
考えて、思いえがいて、考えて。

考えることは生きること。ぼくらはいまを考える。
そう、ぼくらは“いまを生きる人”なんだ。

そんな、イマジンたちに贈ります。

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