異常なまでの相次ぐ値上げラッシュ・・・だからこそ、
利益確保に向けて、いま行動開始!

JACKSON IMAZINE REPORT Vol.23

弊社、代表取締役社長 北原ジャクソン友(通称:ジャクソン)が日頃から感じる様々な出来事や、数多くのセミナーを参加して感じたことなど、ワクワクする情報を毎月皆さんにシェアしていくコーナーです!

TEXT BY  KITAHARA JACKSON YU


 2022年年明けとともに襲ってきた新型コロナウイルスオミクロン株による第6波。
日に日にこの地域でも爆発的な拡大をしていき、5万人の茅野市においても1日20人を超えるような日も多くありました。まん延防止等重点措置も延期されるようで、 昨年までの緊急事態宣言まではいかないまでも、やはり経済的ダメージも大きく感じています。
一体いつになったらマスクを外し、対面で大声で笑い会えたり、楽しくお酒を酌み交わすような日常に戻れるのか…。まだまだ辛抱が必要ですね。1日でも早くこのパンデミックの終息宣言が聞きたいところです。
さて、昨年から様々な物の値上げのニュースをよく見るようになりましたが、2022年に入ってさらに加速しているように感じております。私たちの建築業界においてもウッドショックを皮切りに、ありとあらゆる様々なものが値上がりしています。サッシに外壁に、屋根に建具に、住宅設備に、そして内装の仕上げ材までもが大きく値上がりしております。モノによっては20%以上もの値上げのモノもあり、建築コストはトータルで見ると15%から20%は増加してしまいそうです。
また弊社の飲食事業部においても、原材料の高騰で利益を圧迫し始めています。弊社のお客様の飲食店や宿泊業の方にも同じ悩みを抱えている方が多いようで、飲食業界・宿泊業界としてもこのコスト増の問題にいち早く取り掛かり、きちんと利益を確保していく必要がありそうです。
今月はこの相次ぐ値上げラッシュからの急激なコスト増で“利益圧迫”という、今起こり始めている問題へのアイディアをご提案したいと思います。

これを機会に値段競争からの脱出

 今この問題が一番直面していると考えられるのは、安さを売りにしていた店舗ではないでしょうか。もし今現在までも価格で勝負をしている店舗やサービスだとしたら、今すぐそこからの脱却をした方がいいとお伝えしたいです。弊社でよく取り組む3C分析において、一番真ん中の枠にあたる“レッドオーシャンゾーン”は、差別化するものがなく値段競争に陥りやすいと考えられています。
 一度価格競争に陥ってしまうと、利幅の減少はもちろんのこと、多く売ることで全体の利益を確保しなければならないので、“売ること”に集中してしまいます。そして“売ること”の労力は精神的にも苦しめていくとも言われています。
 また価格競争の商品やサービスは模倣されやすく、持続的競争優位性にもつながりません。価格が安い=それなりの商品・サービスだよねというイメージも持たれ、消費者からの企業への信頼も棄損しかねません。中小企業であればあるこそ価格競争をせずに、独自の魅力を最大限に磨き上げ、適正な価格で勝負することで、頑張って“売るビジネス”から、自然と“売れていくビジネス”が必要ではないでしょうか?

暇な今をチャンスに、次へ向けた行動を。

 このまん延防止等重点措置の期間、何ができるかが今後を左右すると私は考えています。お店を休んで、協力金を収入にするというのも、もちろん考え方としては正解だと思います。ですがこの休んでいられる時期をチャンスとして考え、次に向けた準備や行動ができるのも今しかできないことです。弊社の飲食店は全店休まずに営業をしていますが、明らかに人流も少なく売上も落ちてしまっています。ですが時間がある今だからこそ、新メニューの提案やメニュー全体の見直しを行うことで、未来に向けた投資として考え、この数週間を意味ある期間にしていきます。

新メニューの考案やメニュー全体の見直しで工夫しながら価格を上げる

 今すぐ値上げが必要だからといっても、急で突発的な値上げのみをしても、お客様が快く理解してくれなければ意味はないですよね。そこでお店の印象が変わってしまったら、その後のお店とお客様の関係性が途切れてしまうからです。もちろん、お客様の捉え方は様々だと思います。原価の高騰を理解してくださり、値上げも仕方ないね…と言ってくれるお客様もいるかとは思いますが、せっかくなので何かひと工夫を加えることで、より納得して価値を感じてもらうことが必要なのではないでしょうか。
 お客様にも納得して値上がりを理解してもらう方が、今後のお店としてはプラスに働きます。また、そのひと工夫によって値上がり幅も気にならなくなると考えます。
 そのためにも今“ひと工夫”をし、新メニューの追加やメニュー全体の見直しを行いながら価格を調整していきましょう。

[ 1 ] 付加価値を伝えて価格を上げる

 付加価値とは商品やサービスに付け加えられた独自の価値です。その独自の価値といっても様々あります。例えば商品やサービスのストーリー性だったり、産地だったり、希少性だったり、ライブ感だったり、オリジナリティだったり…これらをきちんと伝えることで、それがお客様に付加価値として伝わり、スムーズに価格を上げていけると感じております。その商品の価値はきちんと伝えられていますか。伝える努力はされていますか。商品サービスの一点一点に独自の価値を見い出し、しっかりと伝えられるようにしていきましょう。あのスティーブジョブスが言っていた言葉が思い出されます。“いくら素晴らしいものを作っても、伝えなければ、ないのと同じ”。
 想いのこもったその商品・サービスの価値を丁寧に伝え、適正な価格を付けていきましょう。

[ 2 ] 商品やサービスの余剰部分を探す

 “値上げ”が全てというわけではないと思います。価格は現状維持をしながら、利益もしっかり確保する、ということも一つ考えられると思います。そのためには今の商品やサービスの過剰部分、余剰部分を探していくということです。例えばボリュームは適正ですか。その付け合わせは必要ですか。減らしても商品価値は変わらないというものはないでしょうか。また材料の使い切りで“ロス”をなくしていくことも必要です。SDGsなどの観点から考えても、今まで以上に材料を大切に扱い、捨てる部分を極力少なくすることで、利益の確保につながっていきます。またそういった意識が社内に根付いていくことで、よりコストを意識した運営にも繋がっていくのではないでしょうか。

[ 3 ] メニューミックス

 この値上げラッシュの今、より適正な値付けを考え、利益を確保していくためにも“メニューミックス”が非常に大切だと考えます。
 以前もこの記事にさせていただきましたが、商品・サービスにおいて利益率は一定でなくてもいいのです。目玉商品のようなものは原価率70%や80%、気軽に頼みやすい様な商品や、確実に頼んでもらえると見込める商品は原価率が20%、これらをトータルすると30%前後になる。という考え方がメニューミックスです。
 沖縄のある人気居酒屋では原価率200%のお刺身が大好評です。原価率200%の商品もあれば、原価15%の商品もあり、それぞれの売り上げ個数を予測しながら価格を設定していくことで、トータルの売上の30%に落ち着いていくように計画していきます。エクセルで一覧表をつくり、定価・原価・販売予測個数を入れながら計算していけば、意外と簡単にメニューミックスはできますよ!

ダラービジネスとペニービジネス by 清水 均 先生

 弊社がお世話になっている飲食業界の大先生清水均先生の本に書いてある言葉で、ダラービジネスとペニービジネスと言う言葉があります。 アメリカではホテル業をダラービジネス、飲食業を NYビジネスと呼ぶそうです。この言葉でビジネスの性格を表現しており、ホテル業では商売の単位がダラー、飲食業の単位はペニーと言われ、日本で言うと“1円玉が大切”だという意味です。これは飲食業は1円の積み重ねが非常に大切で、1円の単位で利益を追求していくことが求められている、という教えです。 食材のみならず、電気・ガス・水道といった諸経費の出費にも目を配り、1円1円の利益を重ね、大きな利益にしていきましょう。



A T O G A K I ( あ と が き )

 今回価格という単語をいっぱい並べましたがその中で、ハーマンサイモン先生のことを思い出しました。 値付けの世界的コンサルタントとしてご活躍され、価格の掟や、グローバルビジネスの隠れたチャンピオン企業、といった価格に関する、多くのビジネス書を出版されています。 この先生に出会ったきっかけは、岐阜県恵那を代表する企業、㈱サラダコスモ 中田智洋社長率いる「青い山脈未来創生会議」が主催する2016年の勉強会(恵那・中津川経営革新カンファレンス2016)に参加させていただいた時です。コンサルティング会社サイモンクチャー&パートナースの創設者であり、現在は名誉会長を務めておられます。ドイツ語圏ではピータードラッカーに次ぐ影響力のある経営思想家、とも評価されています。
著書の中にもあるように「価格は重要な利益ドライバー」と書かれており、企業は利益がすべて。そのためには価格設定が全て。と言っています。また、当時の資料を見返してみると企業の税引き後利益率はロシアは12%アメリカが6%日本は2%と日本が非常に低い、というデータがありました。。。日本人の真面目な気質から、世界の中でも圧倒的な利益率の低さになってしまっているようです…。
また、その翌年には、サラダコスモ中田社長が企画してくださった、ドイツの視察ツアーにも行かせていただき、ドイツでハーマンサイモン先生の講演をドイツで生で聞かせていただく機会もありました。当時読破した本を読み返してみよう、と思うのと同時に、 早く海外の風を感じたいなぁ〜とも思ってしまいました…。

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>“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

生きているといろんなことがある。
嬉しかったり。悲しかったり。
失恋の夜が明けたかと思えば、ひとめ惚れの朝が来たり。
成功したあとには、 失敗ばかりの日々が続いたり。
あんなに前向きだった気分も、
ふとした拍子にやんなっちゃったり。

いつだってぼくらは、
泣いて笑って、走って転んで汗まみれ。

でも、そのたんび、
いまより良くするもっと冴えたやり方。
いまから始まるバラ色の近未来。
いましか望めない遠い風景。
考えて、思いえがいて、考えて。

考えることは生きること。ぼくらはいまを考える。
そう、ぼくらは“いまを生きる人”なんだ。

そんな、イマジンたちに贈ります。

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