図書館てどんな場所? 本を通じて生きる力を育み、人と人とをつなぐ

[VOL.12]
茅野市図書館

お話を伺ったヒト
左:五味一男館長 / 右:北澤ゆき子係長

TEXT BY TANAKA YUKIKO


PROLOGUE

やさしい日差しが差し込む静かな館内で無心に活字を追っていると、ついつい時間を忘れてしまいそうになる。図書館は、本を探し、読み、調べ、借りられる場所。でもそれだけじゃない。本との出会いはもちろん、人と人との出会いをも生み出すサードプレイスであり、市民の知識欲を満たす街の知的インフラともいうべき役目をも果たしている。茅野市図書館は開館から四十年以上、二十万冊をこえる蔵書(※分室・閉架書庫等を含む)をもって市民の生活を日々支えてきた。今回はそんな図書館活動に尽力する五味一男館長と係長で司書の北澤ゆき子さんにお話を伺った。


図書館を中心に広がる読書の街

五味:茅野市図書館は昭和五十五年(一九八〇年)に設立されました。当時は美術館が同じ館内にありましたが、二〇〇五年(平成十七年)に移転。図書館が広くなり、より充実した蔵書やサービスを提供できるようになりました。
北澤:現在、本館と市内十地区の分室、市民館図書室を設置しています。ネットワークで結ばれていて、どこの本でも借りることができます。それぞれを週二回巡回して予約の本などを届けています。また本館であれば、諏訪六市町村の図書館から本を取り寄せることもできるんです。
五味:これはこの図書館設立当初から「すべての人に図書館を」というモットーにしているから。二十年近く「読書のまちづくり」を進めていることからもわかるように、当時から市が図書館の重要性を重んじていた証だと思います。

正しい知識の伝播。
子どもたちに「本物」を届けたい。

五味:情報が氾濫している現在の世の中にあって、図書館の役割は重要だと思っています。図書館の本というのは、職員や司書の目を通して選ばれています。図書館に置くべき本かどうか、ある意味覚悟を持って判断しているんです。
北澤:郷土の歴史や文化を反映するものはしっかり並べていきたいと思っていますし、子ども向けの童話などは、なるべく原作に忠実な「本物」を置きたいと思っています。
また、茅野市では、小中高校生を対象にした「調べ学習コンクール」を実施しています。テーマを決めて、必要な情報を子どもたち自身が探し出すんです。そのために親子で図書館を訪れる方も多く、当然相談を受けることもあります。最終的には調べて得たことと自分の考えを分けてアウトプットすることを身につけていきます。こうした探究的な学びを、しっかり支えていこうと思っています。

健康は出会いと好奇心から

五味:一方で高齢者の方の利用も多いんです。以前市役所が高齢者向けの健康イベントを企画したことがありました。なかなか参加者が集まらなかったんですが、会場を図書館にして、本と絡めたイベントにしたらあっという間に集まり、リピーターまで増えたんです。もともとここにくる方は健康に関心が高いように思いますが、それだけではなく、図書館に出かけて人と交流したり好奇心を持ち続けたりすることは、心身の健康の維持にも貢献しているのではと感じているところです。

図書館の在り方も多様性の時代。
茅野市図書館の未来は?

五味:私たちは今この環境でできることを精一杯やろうと思っています。訪れてくれる人のニーズに合わせたラインナップを揃えることで、本を軸にして交流が生まれ、憩える場所ともなっているんです。
今後は映像資料をもっと充実させたいですし、レファレンスも求められたものへの提供だけでなく、さらに先をいく提案をしたい。開館時間に図書館に来ることが難しい方には電子図書利用の登録も始まりました。そうして変わっていく部分がある一方で「いつでも誰もが無料で利用できる」という有り様は大切に、両輪でやっていければと思っています。

I N F O R M A T I O N

茅野市図書館
〒391-0011
長野県茅野市玉川500番地
TEL 0266-72-9085

 

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“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

生きているといろんなことがある。
嬉しかったり。悲しかったり。
失恋の夜が明けたかと思えば、ひとめ惚れの朝が来たり。
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あんなに前向きだった気分も、
ふとした拍子にやんなっちゃったり。

いつだってぼくらは、
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