地元の人にも愛される観光地でありたい。背伸びしないおもてなしで心を掴む。

IMA-ZINE INTERVIEW VOL.55

元気なまちで、今(いま)を生きる、元気な人(じん)にインタビューするコーナー。

君待荘 代表
北澤 隆実
Takami Kitazawa

INTRVIEW WITH KITAHARA JACKSON YU   TEXT BY TANAKA YUKIKO


白樺湖畔で60年以上、時代の移ろいとともに旅館を営んできた「君待荘」。3代目の北澤隆実さんにお話を伺った。景気の低迷とともに「廃れてきた」と感じていた白樺湖にも、新たな動きが始まっている。そうした流れの中で、小さな旅館だからこそできることとは。


舟と馬が活躍した黎明期

北原ジャクソン友[以下、北原]:今日は君待荘の北澤社長にお話を伺いたいと思います。君待荘さんは何年目になるんでしょうか。

北澤隆実さん[以下、北澤]:60年ちょっと。正式な日にちはわからないですけど、昭和30年前後の創業です。おじいちゃんが始めて、父と母が通って手伝いをしていたんです。小学校4年くらいからはこちらに引っ越してここで生活をしていました。

北原:君待荘という名前はかなりインパクトがありますね?

北澤:昭和初期、「君の名は」というドラマがあって、おじいさんがそれからつけたと聞いていますけどね。……途中(名称変更も)考えましたよ(笑)。特にバブルのいい時代、時代に乗り遅れているような感じはありましたけど、今となっては続けているのに意味があるのかなという気もしています。
最初のころ、この前の道路は車が全く通れなくて、西側から渡し船で風情ある景色だったらしいです。こちらは馬しか通れなくて貸し馬とかもあったと聞いています。だからここにも桟橋があって、亀屋さんの下にも桟橋があって、要所要所に船をつけてお客さんを運んだそうです。

当たり前の中に光る魅力

北原:社長の中で白樺湖とは?

北澤:ここしか知らないくらい。ぼくらにとっては当たり前の景色ですよね。25歳で戻ってきたんですけど。25年くらい経った頃から、いいところなんだなあという感覚が出てきました。
自然が売りのところですので、新しいものを作るというより維持していこうということでみなさん一致していると思う。散策する道路も整備されてきたし、ビーナスラインが中心になっていて蓼科を通って車山霧ヶ峰美ヶ原まで続いている。日本の中でも他にない景色だと思います。個人的には6月に芽吹いて、白樺の葉っぱが緑、レンゲツツジが咲くころが一番きれいかなと思いますね。

北原:この仕事をやっていて幸せだなと思うところは?

北澤:旅館というのは食べて寝て、お風呂に入ってと、全部をまかなわなきゃいけない。日本人の旅の文化的に大事なことだと思っています。いい思い出を作って、喜んで帰ってもらえてると自負しながらやっています。

多くの人に愛される観光地へ

北澤:高度成長から平成の始めくらいまでは大きなホテルがたくさんあって、飲食店、売店が軒を連ねていたので、諏訪茅野の人も遊びに来てくれる観光地だった。景気が後退して、大きなホテルからだんだん営業をやめてきた頃から廃れてきたという感じがした。
ただ今は西側の廃屋の解体などが始まっていて、道路の付け替えなども計画がある。これから2、3年で変わっていくのかな。それに30代40代の若い方たちが何人もいらっしゃって、活気づいてきてるのかなと僕も思っています。

北原今後の展望や思い描いているものを聞かせてください。

北澤:小規模の旅館ですけど、華やかさはないにしてもきていただく方がいるということは一定の需要がある。そんな人たちがどんなサービスを望んでいるのかを考えながら、過度にはせず維持していけたらと思っています。
あとは個人個人でもがんばるんですけど、エリアとして良くなるのも大事だと思っていますね。仲間がいますので、自分たちで声を出してやっていければと思います。
今は地元でも白樺湖に来たことない子もいるんじゃないかと思うんです。近場から行ってみようと思ってもらえる、愛されるようにならないと都会からも愛されるわけないので、そう日頃から思ってますね。

I N F O R M A T I O N

君待荘
〒391-0301
長野県茅野市北山白樺湖 3419-1
Tel 0266-68-3300

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“いま”を生きる人へ。“いま”の生きた情報を。

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嬉しかったり。悲しかったり。
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